会社の人が家族葬を執り行う場合、参列は基本的に控えるのがマナーです。家族葬は、身内だけで静かに故人を見送りたいというご遺族の意向で行われる葬儀の形式であり、会社関係者を招くことは想定されていないケースが多いためです。
訃報を受けると、「お世話になった人だから参列したい」「香典を渡してお悔やみの気持ちを伝えたい」と考える方も多いでしょう。しかし、その気持ちがかえってご遺族の負担になるかもしれません。
本記事では、会社の人の家族葬において参列を控えるべき理由と、参列して良いケースを解説。香典を包む際の確認事項や、会社としてどう対応すれば良いのかも紹介します。社員の家族葬への対応に悩んでいる方や、自分自身が参列して良いのか判断に迷っている同僚の方は、ぜひ参考にしてください。
会社の人の家族葬には基本的に参列しない
会社の人が家族葬を執り行うと知った場合、たとえ訃報を耳にしても、参列は控えるのが基本的なマナーです。家族葬は、ご遺族が「身内だけで静かに見送りたい」という思いから選ぶ葬儀の形式です。会社関係者を含めた一般の参列者は想定されていません。
弔意を伝えたい気持ちがあっても、まずは「参列しない」という対応がご遺族にとって最も負担の少ない選択肢になります。もし弔意を形にしたい場合は、独断で行動するのではなく、先方の意向を確認したうえで、供花や弔電など別の手段を検討するのが望ましいです。
参列を控えることは、決して「冷たい対応」ではありません。ご遺族が望む静かな環境を守るための、思いやりのある行動だと考えましょう。
会社の人の家族葬に参列して良いケース
会社の人の家族葬では参列を控えるのが基本ですが、参列が望まれているケースもあります。ここでは、会社関係者が参列しても問題ない3つのケースを紹介します。
「参列してほしい」と言われた
家族葬は、ご遺族が最後のお別れに立ち会ってほしいと考える相手に声をかけて執り行うものです。そのため、参列を依頼された場合には参加して構いません。ご遺族から直接「ぜひ参列してほしい」と言われたのであれば、それはご遺族の意向に沿った行動になります。
個人としてご遺族から直接訃報を聞いた
会社を通じて訃報が伝えられた場合と異なり、ご遺族本人から個人的に訃報を知らされた場合は、ある程度親しい関係にあると考えられます。このようなケースでは、ご遺族側も会社の人という立場よりも、個人的な付き合いのある相手として参列を想定していることが少なくありません。
ただし、訃報を伝えられたからといって参列が確実に望まれているとは限りません。参列しても良いかを訃報を伝えてくれたご遺族に確認し、どうするか決めましょう。
訃報に葬儀の日程や会場が書かれている
訃報の文面に書かれている情報からも、ご遺族が参列を望んでいるかどうかをある程度判断できます。訃報に葬儀会場の詳細や日時などの情報の記載がない場合は、亡くなった事実を知らせるだけの内容であり、葬儀への参列は望んでいないと判断するのが基本です。
一方で、葬儀の日程や会場が記載されている場合には、参列を想定した案内である可能性が高いと考えられます。ただし、日程や場所の記載があっても、本文中に「参列を辞退する」「近親者のみで執り行う」といった文言が添えられている場合は、家族だけで見送りたいというメッセージであるため、参列は控えるべきです。
迷う場合には、自己判断で動くのではなく、ご遺族に直接確認を取ることが何より大切です。
個人として香典を包みたい場合の確認事項
参列はしないものの、お世話になった人への弔意として、個人的に香典を包みたいと考える人もいるでしょう。しかし、家族葬では香典に関するご遺族の意向が一般葬とは異なる場合が多いため、包む前に確認しておきたい点があります。
香典が辞退されていないか確認する
家族葬では、ご遺族側が香典を辞退しているケースが少なくありません。香典にはご遺族への金銭的な援助の意味もありますが、家族葬では規模を小さくし、費用を抑えられることが多いため、香典を辞退するご遺族も珍しくありません。
ご遺族が香典を辞退するのは、香典返しの負担を抑えるためという意味合いもあります。辞退しているのに香典を渡してしまうと、香典返しの負担をご遺族にかけることになりかねません。
香典辞退の場合にお線香やお菓子を贈る人も
香典が辞退されている場合でも、何らかの形で気持ちを伝えたいと感じる人は多いものです。香典を辞退している家族葬であっても、花や供物といった品物を贈ることで、弔意を表せます。
供物の定番といえばやはりお線香でしょう。5,000円を目安に、少し良いお線香を贈ると喜んでもらえるでしょう。
ただ、お線香は仏教ならではの供物です。相手が神道やキリスト教の場合や、相手の宗教がわからない場合は、お菓子や花を贈りましょう。
具体的にどのような品物を選べば良いのか、宗教・宗派ごとの注意点や贈る際のマナーはこちらの記事で解説しています。
家族葬で香典の代わりに贈れる品物を宗教ごとに紹介|避けるべき物やマナー、贈るタイミング
個人で香典を包む前に会社に確認する
香典を辞退していない家族葬であっても、個人として香典を包む前には、会社の対応を確認しましょう。会社として香典を包む場合、個人として香典を包むのは避けるのがマナーです。これは香典を重ねて包むことが「不幸が重なること」を連想させるためです。
また、香典が増えればご遺族の香典返しの負担も増えること、会社としてまとめて対応する慣例があることなども、会社と個人で重ねて香典を包まないことの理由として挙げられます。
家族葬と言われた場合の会社としての対応
社員から「家族葬を執り行う」と伝えられた場合、会社としてはどのような対応を取るべきか迷う場面も多いでしょう。ここでは、家族葬と伝えられた際に会社が検討すべき5つの対応を紹介します。
社内への共有範囲を確認する
社員から家族葬の報告を受けた際、会社として特に注意したいのが「社内への共有範囲」です。ご遺族が「周囲に気を遣わせたくないため内密にしたい」と考えている場合、良かれと思って社内掲示板や全社メールで訃報を共有してしまうと、意向に反することになります。社内アナウンスを流す前に、必ず本人に情報の公開範囲を確認しましょう。
規定に従い慶弔金を支給する
慶弔見舞金や弔慰金は、故人を弔う気持ちと、家族を失った社員への慰めを表すもので、会社の福利厚生的な意味合いが強いものです。就業規則や慶弔規程に基づいて支給されます。
香典との大きな違いは、返礼の扱いです。香典と異なり慶弔金には返礼(香典返し)が必要ありません。香典辞退の場合も規定に沿って支給を進めれば問題なく、ご遺族側に負担をかける心配もないでしょう。
有志で香典を包む(辞退されていない場合)
慶弔金とは別に、有志で香典を取りまとめたいと考える社員もいるかもしれません。ただし、家族葬では香典や供花を辞退するご遺族が多いため、確認を取らずに贈ると、かえって迷惑になってしまうこともあります。
有志で香典を包む場合は、まずご遺族の意向を確認することが欠かせません。香典辞退の案内が出ている場合は、有志での香典も控えるのが基本的な対応になります。
有志で香典を包む場合は、こちらの記事もぜひお読みください。金額目安や香典の基本マナーについて、まとめて解説しています。
会社の人の家族葬で香典はどうする?参列する場合、しない場合、辞退された場合の対応
供花を手配する(辞退されていない場合)
供花についても、香典と同様にご遺族の意向を確認したうえで判断しましょう。香典は辞退していても、供花であれば受け取りたいというご遺族もいれば、供花も含めて全てを辞退したいというご遺族もいるため、一律の対応はできません。
供花を手配する前には、香典のケースと同じく、ご遺族に「供花は受け付けているか」を確認するのが安心です。
なお、供花は葬儀社を通して手配するのが無難です。花屋で手配することもできますが、葬儀社の中には外部の花屋からの供花を受け付けていないところもあります。また、葬儀社を通じて手配すれば、会場の規模に合わせた供花が贈れます。
なお、どんな花を贈れば良いのかは宗教・宗派によって異なるため、供花を贈る場合はこちらの記事を参考にしてください。
弔電を手配する
香典であれば香典返しの準備が必要になり、供花も飾る場所や規模を考慮しなければなりません。一方、弔電は受け取る側に金銭的・物理的な負担をかけるものではないため、家族葬であっても比較的選びやすい弔意の伝え方といえるでしょう。
ただし、訃報に「弔電辞退」の旨がある場合は、弔電も送らないのがマナーです。
弔電の具体的な文例や宛名の書き方、送る際の注意点については、こちらの記事で解説しています。弔電に載せる「お悔やみの言葉」は、宗教ごとに使えるものが異なるため、記事で確認したうえで内容を決めましょう。
家族葬でも弔電を送って良い?判断基準と送り方、宗教ごとのお悔やみの言葉
会社の人の家族葬では参列しないことが配慮になる
会社の人が家族葬を執り行う場合、参列を控えるのが基本的な対応になります。家族葬は身内だけで静かに見送りたいというご遺族の思いから選ばれる形式であり、会社関係者の参列は想定されていないことが多いためです。
ただし、「参列してほしい」と言われた場合や訃報に日程・会場が記載されている場合は、参列が適切なケースもあるため、判断に迷ったらご遺族に確認しましょう。
香典についても、辞退の意向があれば無理に渡さず、お線香やお菓子で気持ちを伝える方法もあります。会社としては、慶弔金は規定に従って支給すれば問題ありません。有志での香典や供花は意向を確認したうえで判断し、弔電は比較的負担をかけずに弔意を伝えられる手段として活用するとよいでしょう。
