家族葬と一日葬の費用は、どちらも80万円前後が目安です。「一日葬のほうが日数が短い分、安くなるのでは?」と思われがちですが、実際には費用にそれほど大きな差は出ません。
「家族葬と一日葬、結局どちらを選べばいいの?」「費用以外に何を基準にして決めればいいの?」と悩んでいる方も多いでしょう。費用がほぼ同じとなれば、どう選べば良いかわからなくなるのも無理はありません。
本記事では、家族葬と一日葬の費用があまり変わらない理由を解説。それぞれの葬儀形式が向いているケースや、費用をさらに抑えるための工夫についても紹介します。どちらの形式にするか迷っている方、費用を抑えながらも後悔のない葬儀にしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
家族葬も一日葬も費用は80万円ほど
家族葬と一日葬、どちらも費用の目安は80万円前後です。葬儀社によって内訳や含まれるサービスは異なりますが、一般的な相場としてはほぼ同水準と考えてよいでしょう。
「一日葬のほうが日数が短い分、安くなるのでは?」と思う方も多いですが、実際には費用にそれほど大きな差は出ません。
家族葬も一日葬も費用があまり変わらない理由
家族葬と一日葬の費用がほぼ変わらない理由を理解するには、まず葬儀費用の構成を知っておく必要があります。葬儀費用は大きく「葬儀一式費用」「飲食接待費」「宗教者へのお布施」の3つに分かれており、このうち金額の中心を占めるのが葬儀一式費用です。
葬儀費用は参列者数で変わるわけではない
葬儀一式費用には、ご遺体の搬送・安置、棺や祭壇、司会進行、スタッフの人件費などが含まれます。これらは参列者が10人でも50人でも、基本的にかかる費用は変わりません。参列者の人数が増えても葬儀一式費用が大きく膨らむわけではないため、「参列者を絞れば安くなる」とは一概にはいえません。
家族葬では飲食接待費を抑えられる
参列者数によって変動するのは、主に飲食接待費です。通夜振る舞いや精進落としといった会食の費用は、参列者が少なければその分抑えられます。家族葬のように参列者を身内だけに絞る場合は、飲食接待費を節約できる点はメリットといえるでしょう。
ただし、葬儀費用全体に占める飲食接待費の割合はそれほど大きくないため、劇的なコスト削減にはつながりにくいのが実情です。
一日葬でも2日分の会場費がかかることも
一日葬はお通夜を省略して告別式のみを1日で行う葬儀形式です。「1日しか会場を使わないのだから、会場費も半分では?」と考えると、実際とは異なる場合があります。
多くの斎場では、ご遺体を安置する前日から会場を押さえる必要があり、実質的に2日分の会場使用料が発生することも少なくありません。参列者が多い場合、会場の規模も大きくなるため、会場費は一日葬の方が高くなることもあり得ます。
一日葬では読経の回数が少ない分、お布施の金額も減る
一日葬はお通夜を省略するため、僧侶による読経の回数が家族葬より少なくなります。読経の回数が減ることで、宗教者へのお布施の金額も抑えられます。
お布施の金額は宗派や地域によって異なりますが、お通夜と告別式の両日に読経を依頼する家族葬と比べると、一日葬では数万円程度の差が生じるでしょう。葬儀費用全体から見ると大きな差ではないものの、少しでも費用を抑えたい場合には考慮しておきたいポイントです。
家族葬か一日葬かは、費用以外の条件で考える
家族葬と一日葬の費用はほぼ同水準であるため、どちらを選ぶかは費用以外の条件で判断することになります。故人やご家族の状況、参列者の事情、宗教的なしきたりなど、いくつかの観点から検討してみましょう。
お通夜を省略することに抵抗はないか
一日葬はお通夜をせず、告別式のみで故人を見送る形式です。日程や準備にかかる労力の面ではメリットがありますが、「お通夜をきちんとやらないと故人に申し訳ない」「親族から理解を得られるか不安」と感じる方も少なくありません。
ご自身やご家族がお通夜の省略に抵抗を感じるようであれば、一日葬よりも家族葬のほうが後悔の少ない選択になるでしょう。葬儀は気持ちの整理をつける大切な場でもあるため、形式に対する心理的な負担は軽く見ないようにしましょう。
菩提寺が「一日葬でも良い」と言ってくれるか
菩提寺(先祖代々のお墓を管理しているお寺)がある場合、一日葬をしても良いか事前に住職へ相談し、了承を得ておく必要があります。宗派やお寺によっては、お通夜と告別式の両日に読経することを重視しており、一日葬に難色を示すケースもあるからです。
菩提寺に相談せず一日葬を進めてしまうと、後々の納骨や法要に支障が出ることもあります。一日葬を希望する場合は、葬儀社への連絡と並行して、菩提寺に早めに確認を取りましょう。
参列者はどのくらいか
参列者の人数も、家族葬と一日葬を選ぶ際の重要な判断材料です。家族葬は基本的に身内や親しい友人など少人数での葬儀を想定しており、一般的には10〜30人程度の規模になります。
一方で、一日葬は参列者の人数に制限がありません。ただし、お通夜がない分、告別式の1回しか参列の機会がないため、参列を希望する方が多くなることも考えられます。この場合、時間的な余裕を持った段取りが必要です。
高齢や遠方から来る参列者は多いか
参列者の中に高齢の方や遠方から来る方が多い場合は、一日葬が向いています。2日間にわたる葬儀よりも、1日で完結する一日葬のほうが、体力的・移動的な負担を軽くできるからです。
一方で、遠方から来る方が宿泊を伴う場合は、お通夜から告別式まで2日間ゆっくり過ごせる家族葬のほうが、落ち着いた時間を確保しやすい面もあります。参列者の状況を具体的にイメージしながら、どちらが参列しやすい形かを考えてみてください。
家族葬が向いているケース
家族葬は、お通夜と告別式の2日間をかけて故人を見送る葬儀形式です。参列者を身内や親しい人に限定しながらも、従来の葬儀と同じ流れでしっかりと儀式を執り行えるのが特徴です。次のようなケースでは、家族葬が向いています。
お通夜もきちんとやりたい
「お通夜は故人と最期の夜を過ごす大切な時間」と考える方にとって、一日葬はやはり物足りなさが残ります。家族葬であれば、お通夜と告別式の両方をきちんと執り行えるため、納得感を持って故人を送り出せるでしょう。
菩提寺との関係上、お通夜の読経が必要なケースでも、家族葬であれば従来どおりの宗教的な手順を踏んで進められます。しきたりや形式を大切にしたい方には、家族葬が安心できる選択肢になります。
身近な人だけで見送りたい
「大勢に見送られるよりも、本当に親しい人だけで静かに送り出したい」という希望がある場合も、家族葬が適しています。参列者を限定することで、慌ただしさを抑えた落ち着いた雰囲気の中で、故人との最期の時間をゆっくり過ごせます。
一般葬では、仕事関係の方や遠い知人なども参列するケースが多く、遺族が対応に追われることも少なくありません。家族葬はそうした場面を最小限に抑えられるため、故人と向き合う時間を大切にしたい方に向いています。
参列者対応の負担を抑えたい
葬儀では、参列者への挨拶や案内、香典の受け取りなど、遺族が担う対応業務が意外に多くあります。参列者が多いほどその負担も大きくなるため、心身ともに消耗しやすい状況です。
家族葬は参列者が限られるため、こうした対応の手間を大幅に減らせます。遺族自身が悲しみの中にある状況で、余計な気遣いをせずに済むのは、精神的な余裕につながるでしょう。「葬儀を無事に終わらせること」ではなく、「故人をしっかり見送ること」に集中できる環境を整えやすいのが、家族葬の大きなメリットです。
一日葬が向いているケース
一日葬は、お通夜を省略して告別式のみを1日で行う葬儀形式です。日程がコンパクトにまとまるため、遺族や参列者の負担を軽減しやすいのが特徴です。次のようなケースでは、一日葬が向いています。
宗教的な儀式にこだわりがない
「宗教的な形式にはこだわらず、故人をシンプルに見送りたい」と考える方には、一日葬が合っています。近年は宗教的なしきたりへの意識が薄れている家庭も多く、「形式よりも気持ちを大切にしたい」という考え方から一日葬を選ぶケースが増えています。
ただし、菩提寺がある場合は事前に相談が必要です。宗派によっては一日葬に対応していないこともあるため、住職へ確認しておきましょう。
準備の負担を抑えたい
葬儀の準備は、遺族にとって体力的にも精神的にも大きな負担です。お通夜と告別式の2日間にわたる家族葬に比べて、一日葬は準備や段取りをまとめやすく、遺族の負担を抑えられます。
特に、故人の配偶者や子どもが高齢である場合や、喪主を務める方が体調に不安を抱えている場合には、1日で完結する一日葬が現実的な選択肢になるでしょう。
参列してほしい人が多い
一日葬は家族葬と異なり、参列者を身内に限定する決まりはありません。「友人や職場の方にも参列してほしい」という希望がある場合は、一日葬のほうが柔軟に対応できます。一日葬は参列者数に制限があるわけではなく、規模を問わず執り行える葬儀形式だからです。
ただし、お通夜がない分、参列できる機会は告別式の1回のみになります。参列者が多い場合は、連絡を早めに取り、時間や場所をしっかり伝えるのが大切です。
葬儀費用を抑えるための工夫
家族葬や一日葬を選んでも、費用をさらに抑えたいと考える方もいるでしょう。葬儀費用を抑えるためのポイントはいくつかありますが、費用だけを優先して後悔しないよう、内容とのバランスを考えることが大切です。
「一日の家族葬」も検討する
費用を抑えつつ、家族葬の丁寧さも残したいという場合は、「一日の家族葬」という選択肢があります。これは、参列者を身内に限定したうえで、お通夜を省略して告別式のみを執り行う形式です。家族葬の親密さと、一日葬のコンパクトさを組み合わせた葬儀といえるでしょう。
葬儀社によっては「一日家族葬」として専用プランを用意しているところもあるため、相談の際に確認してみてください。
一日の家族葬が気になる方は、こちらの記事もお読みください。費用面以外のメリットも紹介しています。
一日葬と家族葬の違いは?家族だけで一日葬をするメリット・デメリット
祭壇や読経を省略する
葬儀費用の中で比較的大きな割合を占めるのが、祭壇の費用と宗教者へのお布施です。祭壇を簡素なものに変更したり、生花祭壇から小規模なものに切り替えたりするだけで、費用を数万円単位で抑えられることがあります。
祭壇なしの家族葬が気になる方は、こちらの記事もお読みください。
祭壇なしの家族葬は可能|選ばれる理由と葬儀の雰囲気、祭壇の種類と費用感
また、宗教的な儀式にこだわりがない場合は、読経を省略する「無宗教葬」という形式も選べます。僧侶を呼ばない分、お布施の費用がかからないため、全体のコストを下げられます。ただし、菩提寺がある場合は読経の省略が難しいケースもあるため、事前に確認が必要です。
読経なしの家族葬が気になる方は、こちらの記事もお読みください。
お坊さんを呼ばなくても家族葬はできる|呼ばない理由ごとの葬儀形式
最も安価なのは「直葬」
葬儀形式の中で最も費用を抑えられるのが「直葬」です。直葬はお通夜も告別式もせず、安置施設からご遺体を火葬場に直接搬送して火葬のみを行う形式で、費用の目安は10万〜30万円程度です。
ただし、直葬は葬儀としての儀式が一切ないため、「きちんと見送ってあげられなかった」と後悔する遺族も少なくありません。また、菩提寺がある場合は直葬を受け入れてもらえないこともあり、後々の法要やお墓の管理に支障が出るケースもあります。
費用面での魅力は大きいですが、直葬を選ぶ際は家族でよく話し合い、納得したうえで決断することが大切です。
直葬の費用については、こちらの記事で解説しています。
丁寧に見送りたいなら家族葬、負担や費用を抑えたいなら一日葬がおすすめ
家族葬と一日葬は費用の面ではほぼ同水準ですが、それぞれに向いているケースは異なります。お通夜もきちんと行い、身内でゆっくりと故人を見送りたい方には家族葬が、日程や準備の負担を抑えながらも大勢で見送りたい方には一日の家族葬がおすすめです。
どちらの形式が自分たちに合っているか迷ったときは、費用の比較だけでなく、菩提寺との関係や参列者の事情、故人への想いなどを踏まえ、ご家族で話し合いながら考えてみてください。
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