家族葬でも、お通夜や告別式が終わった後の会食の場で献杯の挨拶をする場面があります。参列者が限られた小規模な葬儀だからこそ、挨拶の言葉一つひとつが、故人を偲ぶ時間をより深いものにするでしょう。
「献杯の挨拶を頼まれたけれど、何を話せばいいかわからない」「忌み言葉など、気をつけるべきことはあるの?」と不安を感じている方もいるかもしれません。慣れない場での挨拶は、誰にとっても緊張するものです。
本記事では、家族葬における献杯の挨拶の例文を立場別に紹介するとともに、言葉の選び方や注意点もあわせて解説します。例文を参考にしながら、自分らしい言葉で故人を送り出したいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
家族葬で献杯の挨拶をする人
家族葬における献杯の挨拶は、喪主が務めるのが一般的です。ただし、喪主が高齢であったり、精神的な負担が大きかったりする場合は、故人の子どもや兄弟姉妹などの近しい親族が代わりに担当することも珍しくありません。
家族葬は参列者が限られた小規模な葬儀であるため、大人数が集まる一般葬と比べて役割分担が柔軟です。そのため、「誰が挨拶をするべきか」という明確なルールはなく、故人との関係性や遺族の状況を考慮しながら決めると良いでしょう。
また、故人と特に親しかった友人や、遺族を代表する立場の人物が挨拶を引き受けるケースもあります。大切なのは、誰が挨拶をするかよりも、故人への敬意と参列者への感謝がしっかりと伝わる言葉を選ぶことです。
喪主が献杯の挨拶をする場合の例文
喪主が献杯の挨拶をする場合、参列者への感謝を伝えながら、故人を偲ぶ言葉を添えるのが基本的な流れです。
本日はご多用の中、〇〇の葬儀にご参列いただきまして、誠にありがとうございます。喪主を務めております、〇〇(故人との続柄・氏名)と申します。
おかげさまで、〇〇の葬儀も滞りなく終えることができました。生前に〇〇と親しくしてくださった皆様にお集まりいただき、〇〇もさぞ喜んでいることと思います。
故人との最期の時間を、どうか皆様と一緒に過ごさせていただければ幸いです。〇〇の思い出話などを聞かせていただけると、遺族一同にとって何よりの励みになります。
それでは、〇〇の安らかな旅立ちを祈り、献杯を捧げたいと思います。献杯。
喪主は葬儀全体を取り仕切る立場であるため、挨拶では参列者への感謝を最初に述べることが大切です。そのうえで、故人との別れを惜しむ気持ちや、参列者への親しみを込めた一言を添えると、温かみのある挨拶になるでしょう。
故人の子どもが献杯の挨拶をする場合の例文
故人の子どもが献杯の挨拶をする場面は、喪主が高齢の配偶者である場合や、子どもが葬儀の中心的な役割を担っている場合に多く見られます。
本日はお忙しい中、父(母)〇〇の葬儀にご参列いただきまして、誠にありがとうございます。故人の長男(長女)の〇〇と申します。
父(母)は〇〇歳という年齢まで、皆様に支えていただきながら充実した日々を過ごすことができました。生前に父(母)と親しくしてくださった皆様のお顔を拝見し、改めて父(母)が多くの方に愛されていたことを実感しております。
本日はどうか時間の許す限り、父(母)との思い出をお聞かせください。遺族一同、皆様とともに父(母)を偲ぶ時間を大切にしたいと思っております。
それでは、父(母)〇〇の安らかな眠りを祈り、献杯を捧げさせていただきます。献杯。
故人の子どもが挨拶をする場合は、親としての故人の人柄や、生前お世話になったことへの感謝を中心に据えると自然な流れになります。喪主ほど形式的になりすぎず、子どもならではの親しみある言葉を選ぶことで、参列者の心に届く挨拶になるでしょう。
故人の親族が献杯の挨拶をする場合の例文
故人の兄弟姉妹やおじ・おばなど、親族が献杯の挨拶を担当する場合は、遺族に近い立場として故人への思いを率直に伝えることが大切です。
本日はご参列いただきまして、誠にありがとうございます。故人〇〇の兄(弟・姉・妹)の〇〇と申します。遺族を代表して、献杯の挨拶をさせていただきます。
〇〇とは幼い頃からともに過ごし、長い年月を共有してきました。突然の別れとなってしまいましたが、〇〇が皆様に囲まれてこの場に送り出してもらえたことを、心からありがたく思っております。
遺族一同、〇〇が生前に築いてきた縁を大切にしながら、これからも歩んでいく所存です。本日お集まりの皆様には、引き続きご支援をいただけますと幸いです。
それでは、〇〇の冥福を祈り、献杯を捧げたいと思います。献杯。
親族が挨拶をする場合は、故人との具体的な関係性(兄弟・親戚など)を最初に明かしたうえで、思い出や故人の人柄に触れると伝わりやすくなります。また、遺族に近い立場であることを意識し、参列者への感謝と今後の支援へのお願いを添えると、挨拶としてまとまりが出るでしょう。
故人の友人が献杯の挨拶をする場合の例文
家族葬に友人として招かれた場合、遺族から献杯の挨拶を依頼されることがあります。友人という立場からは、故人との思い出や人柄を率直に語ることが、参列者の心に響く挨拶につながるでしょう。
本日はこのような場にお招きいただき、誠にありがとうございます。〇〇と申します。故人とは〇〇(出会った場所・きっかけ)でお付き合いが始まり、長年にわたって親しくしていただきました。
〇〇さんは、いつも周りの人を明るくしてくれるような方でした。困ったときには真っ先に声をかけてくれる温かさがあり、そばにいるだけで安心できる存在でした。もっと長い時間をともに過ごしたかったと、今も強く感じております。
〇〇さんとの思い出は、これからも大切に胸にしまっていきます。ご遺族の皆様、どうかお力を落とさず、お体に気をつけてお過ごしください。
それでは、〇〇さんのご冥福をお祈りし、献杯を捧げさせていただきます。献杯。
友人として挨拶をする場合、遺族や他の参列者が知らないエピソードを盛り込むことで、故人の人柄がより生き生きと伝わります。ただし、話が長くなりすぎないよう注意が必要です。思い出の紹介は一つに絞り、感謝と哀悼の言葉でまとめると、簡潔で温かみのある挨拶になります。
遺族代表が献杯の挨拶をする場合の例文
遺族代表として献杯の挨拶をする場面は、遺族全員の気持ちを代弁する立場であることを意識した言葉選びが大切です。
本日はご多用の中、〇〇の葬儀にご参列いただきまして、遺族一同、心よりお礼申し上げます。遺族を代表して、〇〇(故人との続柄・氏名)が献杯の挨拶をさせていただきます。
〇〇は生前、皆様から多くのご厚情をいただきながら、穏やかな日々を過ごすことができました。本日こうして皆様にお集まりいただき、遺族一同、深く感謝しております。
〇〇が旅立ったことは、私どもにとって大きな悲しみですが、皆様からいただいた温かいお言葉に、少しずつ励まされております。今後とも、変わらぬご厚情をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、〇〇の安らかな眠りを祈り、献杯を捧げたいと思います。献杯。
遺族代表が挨拶をする際は、あくまでも遺族全体の気持ちを代弁する立場であることを念頭に置き、個人的な感情よりも参列者への感謝と故人への哀悼を前面に出すことが重要です。「遺族一同」「私どもを代表して」といった表現を適切に使いながら、格式を保ちつつも温かみのある言葉でまとめるとよいでしょう。
家族葬で献杯の挨拶をする際の注意点
献杯の挨拶は、故人への敬意と参列者への感謝を伝える大切な場面です。内容や言葉の選び方を誤ると、遺族や参列者に不快な思いをさせてしまうこともあるため、基本的なマナーを意識して言葉を選びましょう。
忌み言葉や重ね言葉を使わない
忌み言葉とは、死や不幸を連想させるために葬儀の場では使用を避けるべきとされている言葉のことです。「死ぬ」「苦しむ」といった直接的な表現のほか、「終わる」「消える」など、死を間接的に想起させる言葉も忌み言葉に含まれます。
重ね言葉とは、「たびたび」「重ね重ね」「またまた」のように、同じ言葉や似た意味の言葉を繰り返す表現のことです。葬儀の場では、不幸が繰り返されることを連想させるとして、使用を避けるのがマナーとされています。
忌み言葉の例
| 避けるべき表現 | 言い換え |
| 切れる、途絶える | ご縁が途絶えることなく → 今後もご縁をいただけると |
| 離れる | 離ればなれになる → ご一緒できなくなる |
| 終わる | これにて終わりとなります → これをもちまして一区切りといたします |
| 追って | 追って連絡いたします → 後日連絡いたします、あらためて連絡いたします |
| 忙しい | お忙しい中 → ご多用の中 |
忌み言葉と言い換えの例
重ね言葉の例
| 避けるべき表現 | 言い換え |
| たびたび | よく、いつも など |
| ますます | いっそう、さらに など |
| 重ね重ね | 改めて、いくえにも など |
| くれぐれも | どうぞ、ご無理のないように など |
重ね言葉と言い換えの例
挨拶は短くまとめる
献杯の挨拶は、1分程度を目安に簡潔にまとめることが大切です。葬儀の場は参列者全員にとって心身ともに負担がかかる場面であり、長い挨拶は疲労感を増してしまうこともあるでしょう。
伝えたい内容が多い場合でも、「参列者への感謝」「故人への哀悼」「献杯の発声」という3つの要素を軸に絞り込むと、まとまりのある挨拶になります。事前に内容を整理し、必要に応じてメモを用意しておくと安心です。
献杯と乾杯を間違えない
献杯と乾杯は、どちらもグラスを掲げる行為ですが、意味と作法がまったく異なります。乾杯は祝いの席で喜びを表すものであるのに対し、献杯は故人の霊前に杯を捧げ、冥福を祈る儀式です。そのため、「それでは乾杯を…」と言い間違えてしまうと、場の雰囲気を損なうことになりかねません。
献杯の際はグラスを高く掲げず、胸の高さに留めるのが作法です。また、グラスを合わせてぶつけることもしません。発声の後は、拍手をせずに静かに一口飲み、グラスをテーブルに置くのが一連の正しいマナーです。
例文を参考にしながら、故人らしい献杯の挨拶を考えましょう
献杯の挨拶に決まった正解はありません。立場や状況に合わせた例文を参考にしながら、故人の人柄や生前のエピソードを盛り込むことで、その場にいる全員の心に残る挨拶が生まれるでしょう。忌み言葉や重ね言葉に注意しながら、1分程度に言葉をまとめることを意識してみてください。
大切なのは、完璧な文章をつくることよりも、故人への敬意と参列者への感謝を誠実に伝えようとする気持ちです。事前にメモを用意し、何度か声に出して練習しておくと、本番でも落ち着いて挨拶できるでしょう。
家族葬をご検討の際は、ぜひあんしん祭典にご相談ください。あんしん祭典では、故人様との思い出を大切にしながらご家族と心温まるひとときを共有できる、アットホームな家族葬を提供しています。
スタッフは葬祭ディレクターとしての専門資格に加え、グリーフケアの資格を取得しており、ご遺族の気持ちに寄り添ったきめ細やかなサポートが可能です。24時間365日体制で対応しておりますので、突然のことでも安心してご連絡ください。

